マイクロファイナンスって何? 解説!消費者金融との違い

南アジアにある貧困国バングラデシュにあるグラミン銀行の創設者ムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞を受賞し(2006年)、マイクロファイナンスという言葉が日本でもよく聞かれるようになりました。マイクロファイナンスとは直訳すると小口融資のことですが、一般的には貧困層を対象にした小口融資のことをいいます。発展途上国などでは、貧困層の支援として多くの人が利用しています。一方、日本では銀行カードローンや消費者金融などが行うキャッシングサービスの利用者が年々増加していまが、マイクロファイナンスと消費者金融はどう違うのでしょうか。ここでは、大きな3つの違いを用いて解説します。
1つ目の違いは、組織の目的です。マイクロファイナンスを行う組織は、組織を運営するための私的利益を追求しながらも、社会の貧困削減を第一の目的としています。一方、消費者金融の目的は、企業利益の最大化であり、営利目的の組織です。
2点目は、融資対象者です。マイクロファイナンスの利用者は貧困に苦しむ人々が中心である一方、消費者金融は幅広い年収層が対象となります。またマイクロファイナンスの場合、貧困者の生活を再建するという目的があるため、審査基準も消費者金融とは異なります。消費者金融においては、資金使途は問わず、利用者の返済能力の有無が審査の最大のポイントとなります。しかし、マイクロファイナンスは、その資金が利用者の収入を生み出す活動を始めたり、その活動を継続することに使われるか、という点が審査されます。
さらに、債権管理においても、マイクロファイナンスは貧困者の生活再建という目的のため、審査の段階から利用者との信頼関係の構築に重きを置きます。債務不履行が起こった場合にも、執拗な取り立てを行うのではなく、どうしたら返済ができるか、という視点で利用者の生活改善や就労支援など、踏み込んだアドバイスを行いながら債権管理をします。この点も債権管理の上では法的手続きを施行する消費者金融とは異なる点でしょう。
このようにマイクロファイナンスと消費者金融では、無担保・無保証で融資をしたり、小額から借りることができるという点では類似点もありますが、組織のミッションが大きく異なるため、そのサービスの運営方法に大きな違いがあるといえるでしょう。

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